- 歯科医波賀強氏(仮名)のマウスピースならおまかせ part1
-
みみはなこは今日も元気です
さて、無呼吸の治療には主に4つあります。そう、いつものセリフです。
ひとつはダイエット、2つ目は手術、3つ目はCPAP、4つ目はマウスピース
このマウスピースをご自分のためにいくつも作って試された歯科医の先生がおられます。
波賀強氏(はがつよし 仮名)
しかししかし、作ったマウスピースはすべてぱっとせず。
みみはなこ耳鼻科にやってこられた波賀強先生です。
たしかに太っていらっしゃる。
あーんとお口をあいてくださいね。舌も大きくて、ノドのつきあたりまで見えない。
ん?歯も裏が黒くてなんだか、とても歯科医とは思えないのです。
先生、あごを突き出して、反対咬合にしてください。
みみはなこは歯科医、波賀強氏のノドをファイバースコープでのぞきながらいいました。
はい。こうですかあ?波賀先生は、必死の形相であごを前につきだそうとしているのですが、あごのしたの肉がじゃましてか、受け口にしようとしても、あまり動いた感はありません。
ノドの空間も拡がったとは言えず、つまりは効果ゼロ。
波賀強は、数年前に祖父の代からの歯科医院を引継ぎ日々歯科診療にあたっていました。
いまどき、インブラントという言葉は素人でも知っていますが、波賀が歯科医院を継いだころはちょうど過渡期で、新聞の下の専門書広告に インブラントの実際 だとか、インブラントとは何か だとか吹聴されはじめたころでした。
親の跡を継げばよいと思っていた波賀には、積極的に新しい治療を取り入れようという意思は乏しかったといえます。
しかし、これからは何か特色をもって歯科経営をと、あるコンサルタントを雇い入れたのです。
つづく - 歯科医波賀強氏(仮名)のマウスピースならおまかせ part2
-
みみはなこは今日も元気です
京都の知人がおくってくれたみかん。愛媛産「せとか」っていうのですが、
これが今までに食べたことのないおいしさ!!
デコポンもいよかんももちろんふつうのみかんも柑橘系が大好きなあたしですが、
これにはおどろきました。大きさはいよかんくらい。しかし皮のうすさが普通のミカンより薄い。なかの実を包むふくろもうすーーい。味はこーーい。
たぶん高いと思いますが・・・・
みかんの最終進化系です。
さて、波賀歯科にやってきたコンサルタント。
どんな敏腕?!
鹿野専太郎は、歯科の専門のコンサルタント。今まで関西のみならず全国あちこちの歯科から依頼を受け、経営の立て直しを図り、収益の増加に導いてきました。歯科は、信号の数より多いといわれるほど。鹿野が駅を降りて波賀歯科医院につくまで約1kmの間に4軒ありました。
鹿野が、波賀先生を初めてみたときの印象は、まさにアンパンマン!鹿野の中で簡単に方針は決まりました。
先生、子供に人気ありますでしょ!
しかし、波賀先生は歯科大のころから、男は車と時計と靴だぜ!と大言壮語してはばからず。鏡の前に立っては、ヘアスタイルを気にしているのは、学生時代も今も同じです。
しかし、いまや誰が見ても太ったおじさんでした。小難しい顔をして、キリッとを目指しても、アンパンマンはブラックジャックにはなりません。
先生は、お子さんに受けるお顔でいらっしゃいますから、ターゲットは子供にしましょう。
ええーっ⁉子どもは泣くしわめくしなだめるだけで時間がかる。
しかも、入れ歯やマウスピースやインブラント(といってもインブラントはできまへん)のような、おいしい自費診療が子供にはない。矯正だって子どもは保険診療だし......
つづく - 歯科医波賀強氏(仮名)のマウスピースならおまかせ part3
-
みみはなこは今日も元気です
昨日は15日あずきのおかゆを食べる日でした。
あたしの朝ごはんと夜ごはんはあずきのおかゆでした。生まれて今日までこれを食べなかった年はありません。
うちのおかゆは小豆の色が出て小豆色ですがほとんど白いおかゆに小豆だけ混ぜたようなのもよそでみたことあります。
小豆をゆでたついでにぜんざいも作ります。
おいしい!!
食いしん坊のみみはなこはきのうのみかん「せとか」に続き今日も食べ物談でした。
鹿野専太郎は結構オシが強い。波賀先生もいいなり?です。
先生、私が担当させていただきますからには、ある程度先生ご自身にも変わっていただかなくてはなりません。子どもが行きたがらない医院は、おかあさんだって、「ついで受診」されないのですから。鹿野はやや強い口調で言いました。
そして、診察室をながめて言いました。この最新の機器、いいですねえ、なんでもできますねえ、月のリース費用はおいくらですかあ?
先生、その費用を賄おうとすれば、この売り上げではむずかしいですよね。
それに、可愛らしいスタッフさん。何人おられます?
ぼーっと突っ立ってるの3人あれは無駄な方々です。
と、このようにして、鹿野は、波賀歯科医院の経営方針を決定し、バッサバッサとムダを切り捨てていったのです。
つづく - 歯科医波賀強氏(仮名)のマウスピースならおまかせ part4
-
みみはなこは今日も元気です
と言いたいところですが、
朝からシュレッダーの掃除をしてたら、きました!腰が!
これってギックリ?
日頃の運動不足か老化か…
ま、なんとかなるさ。
さて、歯科の専門コンサルタント鹿野専太郎の次なる指南は?
とある日、鹿野は、新しい治療をとレジュメをもってきました。
鹿野だって、リストラ、リースの減量、子ども対策だけでが持ち駒ではありません。
そのレジュメに見なれぬ文字が。
睡眠時無呼吸にマウスピース。
???
波賀先生、ちょっと意味がわかりません。
おいおい。いまこれを知らなかったらもぐりですぜ。
しかし、当時は歯科で睡眠時無呼吸を治療するなんて、しられていなかったもんですから
一般人に限りなく近い
歯科医、波賀強は
ちんぷんかんぷんだったのです。
しかし、マウスピースなら、当然作れます。
当たり前じゃあないですか!
波賀のブライドが知らぬとは言わせません。
鹿野くん、マウスピースは睡眠時無呼吸に効果あるからって、そんな患者さん来ませんよ!
とかなんとか...
といいながら波賀先生は昼の休み時間にこっそり自分の歯型をとりマウスピースを作りました。
なぜって?
波賀先生は太っちょアンパンマンですよ。大イビキマンです。
奥さんには、耳栓なしでは眠れない、このままではいっしょの部屋で寝るのは無理と通告されて久しいのです。
つづく - 歯科医波賀強氏(仮名)のマウスピースならおまかせ part5
-
みみはなこは今日も元気です
あたしが、街を歩いていて、患者さんに会うのは、大歓迎ですけど、たまにバツが悪い時あります。
ずいぶん以前に近所のスーパーで買い物をしている時、そのころ病棟で受け持っている患者さんの娘さんに会って、買い物かごの中を覗き込んだ彼女に、
「先生もっと高いお肉買いなさいよ。」といわれてしまいました。
特売の細切れ煮込み用を買おうとしてた時でした。
みみはなこはめげずに買いましたけど。
さて、さすが元イケメン波賀先生、ご自分の受診も地理を選びます・・・・・
波賀先生は、出来上がったマウスピースをさっそく試してみました。
翌朝、いや、朝まで我慢できず、奥さんは波賀先生をつついて起こしました。
今日は最悪のイビキだったわ。静かになったかと思うと息してないし!
第一作目はみごと失敗。
波賀先生は案外粘り強い一面を持っています。くる日もくる日もマウスピース作りに熱中しました。
噛み合わせに変化を持たせて。
しかし、どの作品も効果は同じくゼロ。
ある日の昼休み、製作に励んているところにふいにコンサルタント鹿野専太郎がやってきたのです。
さすが、先生!昼休みもマウスピースの研究ですか!
と、いいながら、波賀先生の歯に付いたピンクの残りかすを見て
にやっ。
波賀先生はとうとうマウスピースをあきらめて、イビキと睡眠時無呼吸をみてくれるみみはなこ医院を探し出したのです。
ここなら、電車で20分、車でも15分。自分の患者さんに会うこともないだろう。
つづく - 歯科医波賀強氏(仮名)のマウスピースならおまかせ 最終章
-
みみはなこは今日も元気です
今日の読書
佐藤賢一「カルチェ・ラタン」
以前にこの作者の「王妃の離婚」がとてもおもしろかったのでおフランス好きのあたしは、これも読んでみよっと。
なぜおフランス好きかって?
これは公の履歴には載せてませんが、あたしはこの道に入る前に、フランス哲学をちとばかりかじっておりました。
文学部哲学科の卒論は「ロジェ・カイヨワ研究」であります。
しかし、自分の書いた200枚の論文、今読んでもわかりまへん。人生で一番楽しく一番遊んで一番勉強した時期です。
あ、もちろん医学部でも勉強はしましたよ。でも、あんな長い論文は最初で最後でした。
波賀先生のご略歴は、マッパ卒(わかる人にはわかるそう)
専門マウスピース。
ってとこです。もちろん波賀強は実在ではありませんから、悪しからず。
さてみみはなこんちにやってきた波賀強先生ですが・・・
みみはなこは、波賀先生のノドをファイバースコープでのぞいたあとで説明をはじめました。
先生、さっき、アゴを突き出して反対咬合にしていただきましたけど、先生のノドの奥の空間はちっとも拡がりません。だからマウスピースは効果ないのです。
波賀先生も、ファイバースコープの画像をいっしょに見ていたので、納得です。
僕は、マウスピース作るのはだれよりうまくなりました。しかし、ノドがこんな構造してるのを知らずにいたもんだから、イビキには効果なかったんですね。
先生、イビキは先生に任せますから、歯ぎしりなんかで悩んでる患者さんいたら僕に紹介してくださいね。
波賀先生は鹿野専太郎から至上命令を受けていました。
そこの耳鼻咽喉科行ったら、必ず、患者さん紹介のお願いして、名詞とこのパンフレットを渡してください!
波賀先生が診察室を出たら、とたんに子どもの声が響いた。
あ、アンパンマンのセンセー!!
おしまい