いびき・無呼吸について

無呼吸と関連のある病気

「無呼吸」は様々な深刻な病気の引き金となります。「無呼吸」を放置せず治療を続けることでそのような病気と無縁の生活を送りたいものですね。

睡眠時無呼吸症候群と高血圧

「睡眠時無呼吸症候群」と「高血圧」は深い関わりがあります。夜間の低酸素状態や無呼吸により脳が覚醒してしまうことで交感神経が常に高ぶった状態になることなどが要因として挙げられていますが、「睡眠時無呼吸症候群」のある患者さんの高血圧の発症率を調査した論文の結果がこちらです。「睡眠時無呼吸症候群」の有無で高血圧の発症率が変わることと、無呼吸を治療せずに放置すると高血圧の発症率が上昇することがこのデータから明らかになっています。

Marin JM, Agusti A, Villar I, et al.
Association between treated and untreated obstructive sleep apnea and risk of hypertension.
JAMA. 2012;307:2197-2198.

睡眠時無呼吸症候群と心疾患(心筋梗塞、脳卒中、不整脈)

「睡眠時無呼吸症候群」は心疾患の発症率も高めることが分かっています。男性における、脳卒中と睡眠時無呼吸症候群に関して5422名を対象に平均約9年間のフォローを行った論文の報告によれば(Redline S, Yenokyan G, Gottlieb DJ, Shahar E, O'Connor GT, Resnick HE, Diener-West M, Sanders MH, Wolf PA, Geraghty EM, Ali T, Lebowitz M, Punjabi NM.Obstructive Sleep Apnea Hypopnea and Incident Stroke: The Sleep Heart Health Study.Am J Respir Crit Care Med. 2010 Mar 25; .)重症の「睡眠時無呼吸症候群」の男性の方は、睡眠時無呼吸症候群のない方に比べてなんと2.86倍虚血性脳卒中の発症率が高まり、低~中等度の「睡眠時無呼吸症候群」の方でもAHIと呼ばれる「睡眠時無呼吸症候群」の度合いを示す指数が1上昇するごとに虚血性脳卒中のリスクが6%高まる、と結論付けています。

睡眠時無呼吸症候群と糖尿病

JEDAS研究グループが第51回日本糖尿病学会年次学術集会において演題発表された内容によると、2型糖尿病患者におけるSASの推定有病率は35.8%となっており、糖尿病の方は睡眠時無呼吸症候群を発症する割合が高く、この割合に関しては体型による差がない、つまり太っている・痩せているに関わらず3分の1の割合で睡眠時無呼吸症候群を発症するということです。
逆に当院において睡眠時無呼吸症候群の患者さんが糖尿病であったケースもあります。
http://www.kanazawa-naika-clinic.or.jp/news/080626news.html

睡眠時無呼吸症候群とうつ病などの精神疾患との関連

下記は、無呼吸のグループと無呼吸が無い人のグループで、各精神疾患やそれに類するものについて、発症率を調査したものです。

無呼吸は(全てではありませんが)一部の精神疾患の発症率を上昇させることが報告されています。
Association of Psychiatric Disorders and Sleep Apnea in a Large Cohort
Amir Sharafkhaneh, Nilgun Giray, Peter Richardson, Terry Young, Max Hirshkowitz:SLEEP 2005;18(11):1405-1411